不動産担保ローンの場合の担保とは担保とする不動産に抵当権か根抵当権を設定するのが一般的です。住宅ローンでも同じです。
ここでは、「抵当権」について説明します。
@抵当権について
抵当権は、特定の債権を保全するための担保権で、債務者または第三者(担保提供者)が提供した担保物の占有を債権者に移さず、抵当権設定者の手元に留めて、それを使用・収益させながら、万が一、債権が弁済されない時は、その担保物を競売し、その代金により、他に優先して弁済を受ける権利をいいます。
抵当権は民法第369条で規定されています。
「1.抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。2.地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる」
抵当権には、付従性、随伴性、不可分性、物上代位性があります。
A抵当権の登記簿表示例
不動産担保ローンでお金を借りる場合(証書契約の場合)、金消費貸借契約書または借用証書と抵当権設定契約書を締結します。
金融機関等の債権者が「抵当権者」、借り手が債務者で、担保不動産の所有者が「抵当権設定者」といいます。
不動産に抵当権を設定すると、登記簿に、登記の目的(抵当権設定)、登記原因(金銭消費貸借**年**月**日設定)、債権額、債務者の氏名住所、利息、損害金、抵当権者(債権者)などが表示されます。
(抵当権の登記簿表示例 乙区欄)
抵当権設定
原因 *年*月*日金銭消費貸借*年*月*日設定
債権額 ***円
利息 ***%
損害金 ***%
債務者 借主
抵当権者 貸主(****銀行や****ノンバンク)
銀行や信用金庫の不動産担保ローンでは保証会社が入るパターンがほとんどです。
銀行指定の保証会社が入る場合は、保証会社と保証委託契約書も締結します。
保証契約(銀行と保証会社)、保証委託契約(債務者と保証会社)に基づき、保証会社が抵当権を設定する場合は、保証会社が抵当権者となります。
(抵当権(保証会社が抵当権者)の登記簿表示例 乙区欄)
抵当権設定
原因 *年*月*日保証委託契約に基づく求償債権*年*月*日設定
債権額 ***円
損害金 ***%
債務者 借主
抵当権者 ****保証会社(銀行ではない)
なお、抵当権設定の登録免許税は債権金額の1000分の4です。
B抵当権の設定に必要な書類
不動産担保ローンの契約に必要な書類の中に抵当権設定の書類があります。
実際には、金融機関の融資担当者を経由して金融機関の指定する司法書士に渡す書類です。
* 抵当権設定登記に必要な書類(借りる側)
・抵当権設定契約書(または、登記原因証明情報)
・不動産所有者の実印(実印を押した委任状)
・不動産所有者の印鑑証明書(3か月以内)
・不動産所有者が会社法人の場合は資格証明書または商業登記簿謄本(3か月以内)
・不動産の権利書または登記識別情報
* 注意事項
金銭消費貸借契約と同時に抵当権設定契約を行います。
契約書類の署名、押印の前に、契約内容、書類は何に使われるのか、よく確認してください。
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